シャングリ・ラ

池上 永一
角川書店
発売日:2005-09-23

地球温暖化の影響で熱帯の都市へと変貌した東京は、気温を下げるために世界最大の森林都市へと生まれ変わった。
しかし、その森林の上に建設された都市アトラスへ居住できるものはごく僅か。
地上は難民で溢れ、反政府ゲリラは森林化を阻止するために立ち上がる。
 
シリアスなテーマや設定があるので重く感じますが(おまけに結構長いですし)、基本的には英雄的存在の少女が世界を救うという物語だと思って読めば良いかと。
メインになってくるのは…
國子…反政府組織「メタル・エイジ」の総帥。強い信念とカリスマ性を持つ少女。
美邦…アトラスの第六層の宮殿「新迎賓館」(アニメ版の第16話以降は香凛が買収した秋葉原のビルの一室)に住んでいる8歳の少女。嘘を見破る力があり美邦に嘘をついた者は皆、惨たらしい死に方をする。
香凛…アトラスで暮らす10歳の少女。忙しい両親が仕事をしなくても暮らしていけるように財産を作ろうと画策する。
以上の三人の少女。
色々な人の思惑が複雑に絡み合っていて、登場人物たちに感情移入して読むととにかく続きが気になって読んでいて楽しい作品でした。
最初はリアルに感じた世界観が少しずつぶっとんだ展開になっていくので、突っ込みいれながら楽しめる人向けです。(たぶん)

小夜子や涼子というキャラの登場で超人たちの戦闘モノなんだと気付きました。
後半に行くにつれぶっとんだ展開がありましたが、それぞれの登場人物たちの思いや考えがかっこよく楽しんで読めました。
アトラスが本当は何のために造られたのかなどの謎は明らかにされるまで想像もつかなかったけれど…まぁ、ファンタジーとしてはありな設定かなと思います。
國子と美邦、そして水蛭子の争いの結末はちょっと上手くまとまりすぎたという気がしなくもないですね。
ただ、ご都合主義的でも好きだった人たちが幸せになれたならいいかなと思ってしまいましたが。
ニューハーフのモモコさんとミーコさんが好きでした。(モモコさんは最初から好きでしたが、ミーコさんは美邦と出会ってから魅力に気付きました)
最初はちょっと苦手だった香凛もラスト付近では変わってきていて、今後が楽しみな子供だなと思えるようになりました。思い出してみれば、彼女は両親と一緒に過ごす時間を得るために頑張っていたんですよね。基本は可愛い純粋な女の子だったわけで、國子たちの敵でなくなれば嫌う理由もない。
主人公としては國子が一番感情移入しやすく好感が持てるキャラでした。

あ行

Posted by tukitohondana

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