獣の奏者 闘蛇編・王獣編

上橋 菜穂子
講談社
発売日:2006-11-21

けっして人に馴れず、また馴らしてもいけない獣とともに生きる少女エリンの物語。
獣ノ医術師の母と暮らしていた少女エリン。
ある日、戦闘用の獣・闘蛇が何頭も一度に死に、責任を問われた母が処刑されてしまうことになった。
処刑される母のもとへ近寄ろうとするエリンを守るため母は指笛を鳴らす。
奇跡が起こりエリンは生き延びたが、その奇跡を母は「大罪」と呼んだ…
孤児となったエリンは蜂飼いのジョウンに助けられ暮らす中で、天駆ける野生の王獣と出会う。
その姿に魅せられたエリンは王獣保護場の学舎へと入舎。
傷ついた王獣の仔リランを救いたい一心で治療にあたったエリンは、その過程で禁じられた“操者の技”を見つけ使えるようになってしまう。
エリンは王国の命運をかけた争いにまきこまれていく中で、かつて母が口にした大罪の意味を身を持って知ることに…

上橋 菜穂子
講談社
発売日:2006-11-21

守り人シリーズの時も素晴らしかったですが、このシリーズも上橋さんの描く独特の世界観が素敵です。
獣は人に馴れず、人に慣らしてもいけない。それに関わる大罪が常に付きまとう優しくも重い物語となっています。
人と獣の行き方、違いの描かれ方は厳しいですが、その距離感にどこか心惹かれます。
一巻の最後は非常に気になるところで終わっていて、早く二巻が読みたくてたまりませんでした。

王獣規範は何のためにあるのか、大罪の意味は?
予想できる部分もあったのですが、全容が気になって仕方なかったです。
ただ、それが明かされていく過程でエリンや他の人々が危険にさらされるわけで…わくわくしながらも辛く感じながら読んでいました。
甘えを許さない展開で、重いけれど納得の答えと結末でした。

このまま人と獣の間にある壁はなくせないなくしてはいけないのかな…と考えて読み進めていったのですが、リランのまさかの行動には泣きました。ラストは鳥肌が立ちました。
人と獣は完全に互いを理解することはできないし、それで正しいのかもしれない。
でも、全てが無意味なことではなくて、エリンとリランの間には何か確かな繋がりが出来ていたんだなと思うと感動です。とはいっても、これは後で思ったことであって、最初にじわっときたときは何も考えられない状態だったんですが。

あ行

Posted by tukitohondana

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