シュガーアップル・フェアリーテイル銀砂糖師と緑の工房

2023年10月8日

シュガーアップル・フェアリーテイル銀砂糖師と緑の工房 (角川ビーンズ文庫)
三川 みり
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-03-31)
売り上げランキング: 238,634

ついに銀砂糖師の称号を手に入れたアンは、自らを売ったシャルを自由にすべくペイジ工房へと乗り込んだ。
ペイジ工房は砂糖菓子職人の大派閥。
ところが、現在の工房は没落寸前で…
工房を立て直せたら、シャルを返すと言われたアンの新たな挑戦が始まる!

ブリジットがやっていることの虚しさにいつ気づくのか、エリオットの目的は何か。いきなり気になる出だし。
それが分かると上手く踊らされていることへの怒りもあったけど、物語としては面白くなってきたかも。
アンたちには悪いけど、わくわくしてきた。
最初の銀砂糖についてと、アンをそれに例えるのは面白い。
ペイジ工房の立て直しはかなり大変そうだけど頑張って欲しいと思った。
今までは個人の作品や仕事のお話だったけど、今回は工房全体の話になったのでそこも新鮮でいい。
これまでの考え方ややり方が通用しないから、アンがどうペイジ工房の職人たちを導いていくのか楽しみ。
離れることで近づくアンとシャルの心。
状況は厳しいけれど、読んでいて優しい気持ちになれるいいペアだなぁ。
ブリジットやグレンさんをはじめとした工房の皆にあまりいい印象がなかったんだけど、ただ理解できてなかっただけかも。
今回のは誰かの悪意じゃなくてすれ違いが招いた事態で、それが辛かった。
アンが「自分が作りたいものを作る」の意味について考え、本当の意味に気づく過程も自然でなおかつ彼女の優しさや情熱を感じられるもので感動。
毎度思うけど、アンたちが作る砂糖菓子は実物を見てみたくなる。
想像の中だけにあるのが一番な気もするけど。美しく、何より作った職人の思いがこもったものだから見てみたくなる。
ブリジットのことや謎の妖精と気がかりなことはあるけれど、まずは大きな課題をいくつかクリアしたということでアンを祝福したい。

inserted by FC2 system