シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精

2023年10月8日

人間が妖精を使役するハイランド王国。
その国では、王家勲章を持つ聖なる砂糖菓子を作る職人を銀砂糖師と呼んだ。
銀砂糖師だった母を亡くしたアンは、銀砂糖師の称号を得るため王都へと旅立った。
用心棒として容姿は美しいが口の悪い戦士妖精のシャルを雇い、心を閉ざす彼と近づきたいと願いつつ王都を目指すが…

最近恐くて残酷な妖精が出てくる小説を読んだばかりだったので、頭を切り替えないと…と思っていましたが、こっちはこっちで妖精がメルヘンな扱いではないですね。
戦士妖精シャルとの出会いや彼の危険な雰囲気が好み。
命じた相手が妖精に限らず自分の命令で人や動物が死んだら…戦う者を使役するって重い。
ミスリルが可愛い。
あんなこと言ってたけど、恩返しに来そうな気はしてました。
境遇からしてあのセリフは仕方ないかなと思ったし、このツンデレはいい。
とか思ってたら、強引でちょっぴり我侭なことを言い出して笑ってしまいました。
ミスリルもいい子っぽいんだけど…うるさいのがなんとも。
シャルとミスリルの会話を聞いて二人とも同じぐらい失礼というアンにはついに吹き出してしまった。
シャルとアンのやり取りも好きだけど、ミスリルいいわ…和む。
アンが銀砂糖師に今年なりたい理由が泣ける。
本人は感傷的だっていってるけど、どんな理由にせよ前に進むには目標があった方がいいと思う。
目の前の辛さや悲しみを乗り越える方法は人それぞれだし。
ジョナスは思いのほか、困った坊ちゃんだな;
アンの邪魔にならないといいんだけど…というのが彼の最初の印象でした。
ジョナスの本心はショックだったけど、私も勝手だよね。
ジョナスのことそんなに好きじゃなかったくせにアンが好かれていることは嬉しかったから、つい信じてしまっていました。
思い返してみれば彼の愛の告白って薄っぺらいものだったのに。
一人ぼっちなんだと自覚したアンの叫びには胸が痛みました。
その分、シャルが戻ってきて一人じゃないと思い始めた時の喜びは強く、この二人の繋がりがたまらないです。
お互いほんのり意識しているのもいい。
厳しくも正しいものがちゃんと評価されるという結果には少し感動しました。
物語としてあっさり目標が達成されない方が面白いというのもありますが。
今回の旅とその結末はアンにとってとても価値のあるものだったと思います。
成長モノは好きなのでこれからも読むのが楽しみ。もちろんシャルとの関係も気になる。
ヒューは厳しいけどちゃんと見るところは見ていて、正当な判断ができる人物で好感が持てました。
ミスリルは本当はやる時はやる子でしたね。
可愛いし面白いし意思を貫くし大好きです!

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