ロイヤル・オブ・ラブ―王位をかけた恋

ルーシー ゴードン,マリオン レノックス
ハーレクイン
発売日:2011-04-15

ロンドンの小さなホテルで働くドティのもとに、場違いなほど洗練された客が訪れた。
彼は自分の国エルリア王国にドティとその婚約者を招待するという。
向かった王国で明かされた彼の正体は、出世時の不備から王位継承権を剥奪されたばかりの“元”王子だった。
唖然とするドティに彼は告げる。
「きみはプリンセス・ドロテア、エルリアの王位継承者だ。国を救うためにきみが女王になるんだ」と。
私としてはドティの職場結構好きだけど、ランドルフがショックを受けているシーンは少し楽しかった。
初めて会ったにしてはジョークの言い合いもいい感じだし、この二人の組み合わせは好きだな。
らくだ三頭分や支配人という役職に関するジョークが特に好みだった。
ランドルフのような誠実さを持った人物がヒロインをだますというのもいいな。
もちろん彼自身のためというもあるだろうけど、エルリアのためというのが大きいだろうし。
内に情熱を秘めながらも、表面上は穏やかに関係や状況が変化していくのが読んでいて心地よい。
プリンセスになってからのドティとランドルフのやり取りにはにやにやしてしまった。
一見、冷静そうなランドルフだけど、胸中は複雑だろうな。
あらゆる感情を抑えてプリンセスの臣下としてドティに接そうとする彼には萌える。
ドティがエルザや料理人に対して取った言動は微笑ましくて和んだ。
近付いたり距離を取ったり、惹かれあったり怒りを向け合ったり…このじれったさが素敵です。
置かれた二人の状況からすると、精神的に不安定になるのは自然な流れだと思いますし。
マイクがブレンダとくっつくのはいいとして、ちゃんと別れる前にああなっているのはちょっと…
とドティの行動は責めないのにマイクだけ責めるのは不公平かな。
ただ、ランドルフとの結婚の件を皆が隠していた事に関しては、ドティが怒っても仕方ないと思う。
たとえそれが国のためだとしても、感情は別問題だ。
“心をささげる代わりに愛をもとめる”国民のことを考えて欲しいというランドルフの言葉は好ましいものだったけど。
多くの人を惹きつける優しさと包容力を持つドティと冷静に物事を見て処理する事ができるランドルフ。
これはいいパートナーだと思う。
互いへの信頼さえあれば仕事のパートナーとしても友人としても、恋人としてもいいペアなんじゃないかと。
二人ともスペックが高いんだけど、嫌味がなくて人としても魅力的でいい。
ドティ…いい人なんだけど、ちょっと自重すべきかな。
積極的で行動的な部分が少しずつ傲慢に見えてきてる。
気の強さも裏目に出てきて、ひやひやしました。
素直な人物なので憎めないんだけど、人の上に立つ人間としてはもう少し周囲に歩み寄る姿勢も欲しいような。
ハロルドももう少し頭がよければ、もっと魅力的な悪役になったと思うんだけどな。
ポジション的には美味しいのでちょっと惜しいかも。
結婚から初夜とその後の二人の様子は情熱的でありながら穏やかで読んでいて幸せな気持ちになるものでした。
ラストにも立場等大きな動きがありましたが、とにかく幸福なハッピーエンドで素敵でした。

か行

Posted by tukitohondana

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