ドラゴンキーパー―紫の幼龍

キャロル ウィルキンソン
金の星社
発売日:2009-02

シリーズ一作目の記事は→ドラゴンキーパー 最後の宮廷龍
老龍ダンザが蓬莱島へ飛び立ち、残されたピンは幼い龍カイと山羊とともに隠れ暮らしていた。
孤独を感じながら過ごすピンの前に現れたのは死んだと思っていた死霊使い(ネクロマンサー)だった。
再びピンチに陥ったピンは無事カイを守りきることができるのか…
過酷な環境でダンザがいない不安を抱えながら幼いカイと生活するピン。
そこに以前にも増して頼もしくなった友ファが帰ってきたり、死んだと思っていた死霊使いが生きていたことでピンの周囲だけでなくピンの心の中にも変化が。
カイとやっと言葉が交わせた瞬間は感動してしまいました。そして、そのことによってピンが多くの事に気づいたことにも。
何か悪いことが起きる前触れではと思いつつも皇帝リュウチャとの再会は少し嬉しかった。(ピンには少しでもカイと穏やかな時を過ごして欲しかったので)
少しずつ言葉を覚えて無邪気にいたずらをするカイが可愛くてたまりません。
リュウチャやピンは真面目な会話をしている時でも彼だけはマイペースで笑ってしまいました。
ピンも言ってるけど長寿に固執するリュウチャは見ていて痛々しい。
立派な皇帝になることが先なのにそれを放棄しているように見える。
カイを甘やかしすぎなのも気になる。
新たに龍守りの資質を持った存在が現れたかと思えた時は嬉しかったけど、その後が…本当になぜピンはこうも酷い目にあわなければいけないのだろうと怒りすら覚えました。
ファの優しさと親しみ易さが泣けます。
でも、カイと引き離された期間にあった出来事もピンにとっては必要なことだったかもしれません…
“五つの力”での某人物の死でまさか泣きそうになるとは…人の見かけや表面の態度だけですべてを判断してはいけないと分かっていたはずなのにピンを助けるために行動してくれた人たちのことをもうちょっと信じても良かったなぁ。
今更だけど作者さんはオーストラリアの人だったのか。以前読んだオーストラリアの児童書も重い内容だったし、そういう傾向があるのかな?
今回は最後の龍守りの意味を改めて考えさせられる巻でもありました。
これからのピンとカイの成長、不死を求めるあまりに狂気にとらわれたリュウチャはどうなるのかなど気になるので三部作の完結編を読むのが寂しくも楽しみです。

あ行

Posted by tukitohondana

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