ウィル・オ・ウィスプ
ウィル・オ・ウィスプ(通常版)
ストーリー
19世紀末、イギリスのロンドンで暮らす少女ハンナは、流行病で唯一の身内である祖父を失い、意思を持つ人形のエミリーと二人っきりで生活していた。
ある日、ハンナは祖父の遺品から見覚えのない二つの鍵を見つける。
それは、祖父に立ち入りを禁じられていた部屋の鍵と、その部屋で眠る人形を目覚めさせるための鍵だった……
特殊な人形である精霊人形のオーナーとなったことで、ハンナの平穏な日々は崩れていく。
主人公が自らの中にある力、人の心の闇、人間と人形との関係の在り方について悩みつつ、人形たちと絆を深めていく物語…ですかね。
プレイ前のイメージはあまり良くなかったのですが、良い意味で期待を裏切られました。
糖度低めでシリアス＋コメディのバランスが好みだったので、萌えました！
キャラクター設定を見た段階では、どのキャラクターも萌えがいまいち…だったのですが、プレイを始めると皆それぞれ好きになりましたｖ
それぞれの良さが一回プレイしただけで垣間見えるので、皆気になりまして…すぐに全員のエンディングを観ると決めました。
エミリーにも短くてもいいのでEDが欲しかったですね…脇役たちも結構好きでした。（人形のオーナーたちとか）
多くの方が言っているように、どのキャラでも大筋のストーリーが同じなので少し攻略後物足りないようには感じました。
設定や展開も分かり易く王道路線。
ここは長所でもあり短所でもあるように思います。
奥が深くて長い話を期待している方はがっかりするかも。
でも、私は気にならずに楽しめました。
休日二日ほどで全キャラ攻略可能な長さなので、さくっと遊びたい方には最適です。
ウィル、イグニス、ジャック、ジル、ルディの順番でEDを観ました。ノーマルEDは見ていません。
以下は、ネタばれありの各キャラに対する感想です。
ウィルは素直じゃないというか、むしろそこが分かり易いというか…基本的にいい人でしたね。
突き放した態度を取りつつ、ちゃんと主人公を見守っていて面倒見が良い。
面倒見が良く偉そうな言動を取るタイプは好みなので、彼は普通に萌えましたｖ（あの性格で中井さん声はなかなか良い）
エミリーとの会話も好きです。良いコンビｗ
常識人なので突っ込み役になっていて、そこも見ていて面白かったです。
他のキャラクターのルートをプレイしていても、好感度が上昇していきました。
萌えと純粋な好意総合で言うなら、一番好きなキャラクターです。
イグニスは、スチルのコメントで爆笑させていただきました。特に裏庭で会った時のとかが酷いｗ
EDでの変貌っぷりがすごいです。（変貌というか、それまでは内に秘めていた本心が表に出たというか）
なんだかもう、日常がコメディになりそうですよね…
シャムロックや他の人形に対する思いや態度を見れば、実は良い人なんだろうとは思っていましたが…可愛くて面白い人だったとは。
数百年に渡る孤独な時間が彼の純粋さを歪めてしまったのかもしれませんね。（もちろん人と精霊人形との関係を見続けていたこともでしょうが）
彼の言動は、精霊人形の存在は間違ったもの、それを作ることが出来る人形師は罪深いものだということを証明しようとしているようでした。
でも、それって結局は新しい罪を生み出してしまうことなので、彼の本来の望みとは相反しているんですよね。
矛盾に気付かず己の思い込みのままに行動したイグニスは、ある意味一番人間らしい人形だったように思えます。
ジャックは、攻略前から笑わしてくれるので大好きでしたｖ
天然なところが可愛いです。真面目に面白いことを言う。
彼が洗い物に興味を持ったときの会話には吹きましたｗ
興味があるかないかが彼にとっては重要なので、一般的な価値観は気にしないところがあり、そのため冷酷に見えることも。
純粋ゆえに怖いタイプですね。上手く興味の矛先を変えることができれば無害なので可愛いんですが。
ストレートに思っていることを口に出すので、彼のルートに入ってからは、より威力のある笑いと萌えを提供してくれました。
そしてスチルのコメントも笑わせてもらいました。やっぱり彼の性格好きだｗ
ジルは、プレイ前からほとんど印象が変わらなかった人形です。
ただ穏やかで甘いだけではなく、激しく男らしい面が時々見えるのが萌えますね。
グロリアさんを助けに行くシーンは少し意外性があって吹きましたｗ（ウィルがジルの行動に対して言った台詞も）
彼の性格のせいなのか、オーナーだったグロリアの抱えていた問題のせいもあってか、一番現実というものを考えさせられるシリアスな展開だった気がします。
復活したエミリーとの会話も面白かったです。そうか、エミリーがやっぱり最強なのか。
エンディングまで見て、ジルは人間の心の矛盾と弱さに理解を示していただけあって、彼自身が一歩間違うと病みそうなタイプだな、と感じました。（スチルでのグロリアに対するコメントもそれっぽかったですね）
ルディは……ある意味、清々しい性格をしていますよね。あの腹黒さは、萌えるというより面白いと思います。
武器がフランベルジュなのも性格を現しているのか？と深読みしてしまいましたｗ
ルディがアーヴィンに向き合って話すシーンは笑ってしまいましたが、ちょっと感動しました。
彼の言っていることは酷いけれど、それだけに嘘が無く彼なりの誠実さが現れていたと思うので。
私としては頑張ったアーヴィンがその後どうなったかも気になるところです…あのタイプは開き直ると意外と強い気もする。
ルディの表向きの白さがどうやって身についたのかは納得。
好みとしては、もうちょっと黒いルディが見てみたかった気がします。
ただ、主人公がオーナーになった時点で黒い面があまり出てこないのは仕方ないかな。
あのヒロイン相手じゃ黒さも緩和されるわ。実際は、そんなに性格悪いわけでもないっぽいですし。
単に皮肉屋というか、素直すぎるだけなんですよね。たぶん。
ジャック、ジル、ルディのオーナーである三人の設定は、この手の世界観では王道ですよね。
ヴィクターさんは特に娘さんの話が出た時点で、あの展開は予想済みでした。
それでも、この手の設定結構好きなんですけどね…
グロリアやアーヴィンもそうですが、人の心の闇というか愚かさや弱さを分かり易く表した設定だと思います。
心情を想像して理解しやすいだけに、全員を一度に救えないのが切ないですね。
全体のストーリーや世界観を思えば、悲劇で終わる存在がいるのが逆に良い点な気もしますが…
全ての精霊人形が同時に人間になるEDがあってもいいかな、とは思いましたが少し寂しい空気が漂うぐらいがこの作品にはちょうど良いかな～、という気も。