深海のYrr(上)

フランク・シェッツィング
早川書房
発売日:2008-04-23

ノルウェー海で異様な生物が発見された。海洋生物学者ヨハンソンは、その生物が海底で新燃料メタンハイドレート層を掘り続けていることをつきとめる。
カナダ西岸では船をクジラやオルカの群れが襲い、世界各地で猛毒クラゲが出現、海難事故が続発し、フランスではロブスターに病原体が潜み猛威を振るう。海で一体何が起きているのか?

深海での異変に気付いた人々がついには海の生物たちに襲われてしまいます。パニックモノらしさは全体に漂っているのですが、盛り上がってくるのは半分ぐらい物語が進んでから。
映画とかでこの手の物語を観るよりはゆっくりと進行していく感覚がしてじれったかったです。(映画だと時間の関係上色々カットするから当然なのでしょうが)
続きが気になっていたからこそそう感じたので、面白いには面白いのですが。

視点が切り替わる個所は明確で分かりやすい一方、登場人物が多めのため誰が誰なのか分からなくなることもしばしば…名前を覚えるのが苦手なので確認するだけで時間を無駄にしてしまうこともありました;
穏やかな気性を持っているイメージがあるクジラですが、人間と正確に意思の疎通ができないという面では他の生物同様に宇宙人と大差ないですよね。
有川有川さんの「海の底」では見た目にも恐ろしい巨大ザリガニが人々を襲撃してきましたが、こちらはぱっと見て怖くない分余計に不気味に感じました。
あと、日本などの捕鯨に対する批判の書かれ方がちょっと気になりました。
人間ドラマも繰り広げられており、男女の組み合わせとしてはレオン・アナクワとアリシア・デラウェアが気になりました。ヨハンソンとルンの微妙な友情、会話も好きでした。
クジラなどの人以外の生物を人は擬人化して見るという部分で「獣の奏者」を思い出しました。

た行

Posted by tukitohondana

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