サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し・サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄

サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し (講談社ノベルス)サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄 (講談社ノベルス)

【サイコロジカル〈上〉兎吊木垓輔の戯言殺し】
【サイコロジカル〈下〉曳かれ者の小唄】
玖渚友のかつての「仲間(チーム)」、兎吊木垓輔(うつりぎがいすけ)が囚われる謎めいた研究所――堕落三昧(マッドデモン)斜道卿壱郎研究施設。
戯言遣い・いーちゃんは友に引き連れられ、兎吊木を救出に向かう。

兎吊木垓輔の人物像にはとても興味があったのですが想像通り好みなキャラでした。
ヒントが沢山あったので真犯人は予想がついたので、あれはヒントと言うより仄めかしとみるべきなのかな。
主人公はもちろん登場人物それぞれの人物像、価値観や考え方の違いとその交差が楽しいシリーズ。
≪再読≫
最初にある兎吊木垓輔のいーちゃんへの問いかけがちょっとインパクトあるかな。
今までは見えなかったいーちゃんとである前や≪一群≫のリーダー≪死線の蒼≫の頃の友の様子を知ることができるのは嬉しい。少し寂しい気もするけど。
友といーちゃん、両方のかつての知人が登場することで二人の過去が垣間見えたという点でもこの巻は興味深い。
志人くんには悪いけど、彼といーちゃんの会話が面白くて可愛い。
いーちゃんの友に対する感情は複雑だよなぁ。
でも、捻くれた思考をしてるから複雑だと思ってしまうだけなんじゃないかと考えたりもする。
兎吊木さんはいーちゃんに並ぶ捻くれ具合かも。
この二人の会話は好きだけど、兎吊木さんが実際に話したい相手かというと微妙だな;
音々さんはちょっと言うこときついけど、いい人だよね。
いーちゃんが捻くれている分、彼の周囲は良くも悪くも正直にシンプルに生きてる人が多い気がする。
いーちゃんの気持ちもちょっと分かるけど、いーちゃんの思考って一種の中二病で長期間抱くと本人にとっても周囲にとってもマイナスの部分があると思う。
物語の全容は覚えていなかったけれど、兎吊木さんの死体についてと小唄さんの正体は覚えていたのでその辺りを考えて読むと印象が違って面白かった。(前回読んだ時は何となくで読んでて、シリーズ中でも特に印象に残らなかったのがこのサイコロジカルだったりする…)
戯言シリーズはインパクトのあるキャラというと女は色々な意味で強くて、男は変体が多い気がする。
いや、いい意味で。
実際起きた出来事が明かされれば、それほど複雑ではない。
ないのだけれど、作中でいーちゃんが言っているように「非現実的」「辻褄合わせ」「こじつけ」「牽強付会」「狂った解決」な事件だと思う。
読むともやもやするのはそのせいなのかも。
こういう事件、展開、登場人物は嫌いじゃないんだけどね。
全てに気付いた上で黙っていることを選んだいーちゃんが好きだ。
いーちゃんと潤さんの友達関係もいいなぁ。
この二人のコンビは潤さんが登場を重ねるごとにますます好きになっていく。

inserted by FC2 system