クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識

戯言遣いいーちゃんがクラスメートの葵井巫女子たちと送り始めた平穏な日常は、人間失格・零崎人識との出会いによって脆く崩れ去ってしまう。

零崎人識は気になっていた登場人物の一人なので、わくわくしながら読みました。
彼といーちゃんの会話がいいですね。
友といーちゃんの関係も好きですが、この二人の関係も好きです。
正反対すぎて逆に似てる。似ているからこそ理解しあえる。
けれど、だからこそ一緒にいたくない相手って現実でもいると思うんですよね。
クラスメートサイドの殺人事件の真相は、動機とかが理解できないくもないだけに何とも言えない感情を覚えました。
結局、いーちゃんも彼女たちもある意味純粋だなぁ、という気も…
今回はいーちゃんの一人称で進むゆえの騙しが面白かったです。
もちろんそれは違和感を感じる個所でもあって、何かあるなとは思っていたのですがいーちゃんの行動が予想外でした。
≪再読後≫
キムチを大量に食べるとか巫女子ちゃんの口調とかインパクトあったり独特なのに記憶に残ってなかった。
戯言シリーズは毎度インパクトある上にキャラが濃いからなぁ…と言い訳してみる。
これからどうなるかを知って読むと、巫女子ちゃんがいーちゃんを友人の誕生会に誘う辺りから複雑な気持ちになるな…
このシリーズはいーちゃんの思考によく共感を覚えるけど智恵の言うのもなんかちょっと分かる。
自分が人間として欠陥品だと思ったことがあるとかもう一人の自分がいるっていうの。
零崎人識といーちゃんのいーちゃんこと“僕”に関する考察というか問答が面白い。
この二人の関係好きなんだよな。歪んでいるけどはっきりしててさっぱりしててなんかいい。
いーちゃんを平凡と表現するのは無理がある気がするけど。
自分が欠陥品だと感じている普通の青年と殺人鬼。
そんなコンビが必然か偶然か出会って、一晩語り明かして、カラオケボックスで待ち合わせして、殺人事件について話現場へ向かう。これだけでもカオスで面白い状況だと思う。
いーちゃんと犯人の最後の会話がなんか読んでて苦しい。
この部分のいーちゃんの思考読んでるだけでも彼が他人の気持ちが分からないなんて事はないって分かるし…なんかどちらにも感情移入してしまって辛い。
それにしても人識が現れたのはいいタイミングだった。
物語としては必然だけど、この偶然の再会といーちゃんを救ったという展開はとっても美味しい。かっこいいシーンの一つだった。
潤さんは相変わらず強引で無茶苦茶でかっこいい。
出てくる度に人間離れした伝説を披露してくれるよねあの人は。(殆どは話で聞くだけだけど)
それもちょっと楽しみだったりする。
共感できるところがありつつ異状で狂気的な時すらある。
そんないーちゃんがかっこいいのはその平凡さと異状さの両方が徹底してるからかなぁ。
むいみちゃんの事だけはあまり好きになれなかった。
嫌いでもなかったし言ってることも分からなくはないんだけど理解したくないというか…
いーちゃんって普段は淡々としてるけど、いざ感情的になるとすごく残酷なこと言ったり、逆にすごくなんていうのかな優しいよね。
あまり目だってなかった秋春が一番強い存在だったと思うのは感傷的なのかな。
あまり彼の描写がなかったから余計にそう思うのかもしれないけど。
ラストの言葉はぐさりとくるね。

inserted by FC2 system