ザ・サード 風のままに、歌のままに

ザ・サード 風のままに、歌のままに (富士見ファンタジア文庫)
星野 亮
富士見書房
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歌うことを忘れた歌姫マルガリータ、自らの信じる道を進む何でも屋火乃香、MJという仲間を見つけることができた機械知性体・ジャンヌ。
それぞれの物語を描いた短編集第四弾。

・帰還
謎の砲撃に救難信号。
向かった先にいたのは砂上戦車だった。
新たな未知の生物との遭遇と戦いを描いた短編。
ちょっと物足りないものの、火乃香とボギーのいいコンビっぷりが見れるお話でした。
・月に杯
和尚と呼ばれる隻腕の男の一夜を描いた短編。
彼の待ち人とはやはり彼の人の意志を継ぐ彼女のことなんだろうな。
謎の兵器が出てきたり、カムイも再登場して、今後に期待できる話でもありました。
長期滞在していた地を離れることになったのは寂しいですが、少女と彼が出会ったのも縁だし、ザ・サードは多くの出会いと別れの物語でもありましたからね。
・邪眼鳥
ある日、火乃香は銀色の眼を持った鳥と対峙する。
なぜかそれは彼女に殺意を持っていて…
夢の中で死んだら本当に心臓が止まる可能性があるとか聞いたことがあったな。
しかも、火乃香が見ているのは普通の夢ではなさそうだし心配でした。
様々な生き物が登場する物語だから、こういう事があってもおかしくないよね。
あの大戦で憎しみや悲しみを抱いたのは関係者だけじゃなく巻き込まれたものも多いわけで、その中には色々な生き物がいたはず。
当たり前のことだけど、改めて気付かされた気がする。
・風のままに、歌のままに
かつて氷の天使と呼ばれていた少女マルガリータのその後。
ジャンヌもリータもその後どうなっていたのか気になっていたので読めて嬉しい。
この商隊のキャプテンの台詞もいいなぁ。
マルガリータが倒れた翌日の会話にはじわっときてしまった。
ショーンの若いなぁって台詞も分からなくはないけども。
ミス(スネーク)やキャプテンの言うことは大事なことだよね。
新人教育中なこともあってちょっと考えさせられた。
まぁでも、リータみたいに頑張っているのが伝わってくる子ならなかなかキツイこと思ったり言ったりできないけどね;
リータがやっと自覚して歌った時には胸が熱くなった。
リータとショーンの心の成長というか動きを読んでいると、この二人の出会いって凄く意味があったなと思う。
これから二人がどう生きていくのか興味が出てきました。
作者もまたこの二人は書きたいとあとがきに書いていたので、次回の話にも期待。
・きみがいる
火乃香と彼女が会いに行っている<ボーイ>という存在のお話。
<ボーイ>と火乃香の会話は好きだな。
感動させてくれるとかじゃないけど、話していても自然というか。
ボギーと<ボーイ>の性格が似ているというのは確かにあるかもしれない。

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