ザ・サード 黒髪のジャンヌ

ザ・サード 黒髪のジャンヌ (富士見ファンタジア文庫)
星野 亮
富士見書房
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・さなぎ Shell
ある日、火乃香は砂漠で裸身の少女と遭遇する。
もうちょっと未来の火乃香を読んで知っていることもあって、この頃の彼女には少し幼いという印象を受ける。
MJが絡んでいるのと置かれた状況っていうのはると思うけど。
尊敬している人に信用されていないのでは、と感じるのは辛いし。
強いけどこう人間臭い弱さも持っているから火乃香は魅力的なんだよね。
未知との遭遇は毎度のことだけど、あらためてああこれSFだよなぁと実感した。
早く街を出た方がいいというMJやあの少女ミシェールの母親の言葉に不安が募る。
いつになくグロい展開だな・・・ミシェールだった存在のとった行動とか。
あれが残酷だと思うのは人間の価値観で考えるからなわけだけども。
MJとアレクセイの未来への責任を自覚しているところもかっこいい。
でも、好きだから、自分のことも大事にして欲しいなとは思う。
MJの言葉に涙を流す火乃香。
このシーンもいいけど、ラストのボギーにときめいた。
やっぱりボギーと火乃香の関係がたまらなく好き。
・面影 ghost image
WHDの調査をしていた浄眼機たちは謎の攻撃を受け、浄眼機の意識はWHDの中に取り残されてしまう。
浄眼機にとっての恐怖か・・・考えたことなかったけど、火乃香が関わってくるのは納得できる。
彼がザ・サードとしてではなく個人的に気にしてるのって火乃香ぐらいだし。
ローナは好きだったので、この話は嬉しいような寂しいような。
でも、こんな私の中にも彼女は存在し続けているんですよね。
浄眼機のローナへの言動に惚れ直してしまいそうな短編。
短いけど、フィラ・マリークとの会話もいい味出してて、このお話好みでした。
・デューン・ランII DUNE RUN II
ドクター・ノルとメイリンが砂漠を移動中の出来事。
メイリンにも初々しい頃があったんだなぁと微笑ましかった。
ドクター・ノルとメイリンの関係もいいね。
火乃香と一緒に旅立たなかったことで、危険な目にあったわけだけど、二人で出かけた理由はなんかメイリン可愛いなって思ってしまった。
・黒髪のジャンヌ from one day to one day
“紫青の谷(パープル・ヴァレイ)”の近くに住む老人と機械知性体の少女ジャンヌの物語。
パープル・ヴァレイか・・・綺麗なんだろうな。
オレグがやってきたことが結果として招いた事は悪だったかもしれないけど、彼が悪だったかというと微妙。
でも、彼の本心や生き様を映す存在が最高傑作であるジャンヌなら、そう悪いものじゃなかったんじゃないかなと思える。
それにしてもMJはかっこいいね。本人も言動も。
ともかく今はジャンヌが自分のこれからの生き方を見つけるのを応援したい。

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