なんて素敵にジャパネスク 〈8〉 炎上編

なんて素敵にジャパネスク〈8 炎上編〉 (コバルト文庫)
氷室 冴子
集英社
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瑠璃姫に陰謀を暴かれ出家を約束した帥の宮。
これで一件落着かと思われたが瑠璃姫の心はすっきりせず…陰謀には衝撃の真相が隠されていた!?

藤宮様の勘違いのように帥の宮の想い人が瑠璃姫だったなら平和なのにと思ってしまう。(これはこれで辛い恋ではあるが)
宮に関しては最初はそんな誤解で高彬が暴走していたこともあったなぁ。今となっては懐かしい。
大弐の忠義心というか絢姫たちを思う心が深くて泣きたくなってくる。
親しい者からあらためて聞くと桐壷女御の運命や身の上が辛い。
宮も女御もお辛い身の上だったのもあるけど、同時に不器用で一途だったんだね。
こういってはなんだけど、性格しだいでは二人ともここまで追い詰められることなかったと思う。
大きな罪と秘密を抱えて生きるのに女御は純粋すぎたし、宮もまた苦しんでいたんだなと考えれば考えるほど胸が痛む。
表にそれらを出せず自らが悪者になってでも女御と子供の秘密を守ろうとした帥の宮。
確かに瑠璃姫を殺そうとしたし、他にも罪を犯してはいたけどやっぱり彼は憎めない。
最後まで絢姫の心配をしていて、野望が自分の子と対面することだったとか…切なすぎる。
瑠璃姫に彼が言った言葉もいいなぁ。
本当彼とはあんな出会い方さえしなければ…互いを認め合えるいい友人ぐらいにはなっていたかもしれない。
大弐、由良姫、高彬それぞれの行動にも胸が熱くなった。
高彬はさすがだ。
嫉妬で狂っていた時はどうしたものかと呆れたけど、彼も頭が柔らかくなったな。
もともと優しい人だったけど。
死にかけながら瑠璃姫を想った彼の姿にも感動。
未だに一番は鷹男だけど、高彬はいい男だよな本当に。
ヒスおこしてたのに、辛い時でも高彬のピンチをきいて色々手配してくれた鷹男の行動も嬉しかった。
藤宮様との会話にしんみりしつつ、遠くどこかであの三人が生きて無事再会できることを願いました。
そして、承香殿女御様の懐妊が本当だといいな。
一つの恋が多くの人を巻き込む事件へと発展し収束していった様は切なく激しく見事でした。
登場人物それぞれの覚悟も見事。

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