魔王
人々を魅了する若き政治家・犬養が総理大臣となった日本で、それぞれの生き方を選んだ兄弟の物語。
近くにいる人間に念じた言葉を話させる能力「腹話術」が使えるようになった安藤が主人公の「魔王」。
そして、その弟の潤也が主人公の「呼吸」の二つの物語が収録されている。
「魔王 JUVENILE REMIX」を二巻まで読んだ段階で原作が気になり手に取りました。
漫画を最終巻まで読んだ後でもう一度小説も読み返そうかなと思います。
兄弟それぞれの選択と二人の関係、登場人物の会話など心惹かれる作品。
現実的にも考えなければいけない重い政治的問題が詰め込まれていて、ところどころ痛い箇所が…
伊坂さんらしくない作品という書評をよく見かけますが、私がこの本の後に読んだ作品も世間に疑問を投げかけるような内容だという印象を受けたので魔王だけ凄く特別浮いているということもないような気がします。
暗い設定や展開があるのに読み終わった後、後味が悪くない辺りも伊坂さんの作品の共通点かなと思いました。