死神の精度

2023年6月2日

伊坂 幸太郎
文藝春秋
発売日:2005-06-28

仕事中のとある死神の前で繰り広げられる人間模様を様々なスタイルで語った短編集。
『死神の精度』
一話目は電話での苦情処理を仕事とする大人しい女性と死神の物語。
嫌なクレーマーの正体に気付いた時は、ああそんなつながりがあったか!と思った。
死神が人の姿になって人の生死を決める判定をするというのが面白い。
彼らが音楽を好きという設定もちょっと不思議な感じがしつつも妙に納得できる気がした。
そして、音楽を楽しむ死神たちがなんだか可愛いv
『死神と藤田』
伊坂さんの作品は復讐とか殺人とか血生臭いことが書かれているんだけど、人間って捨てたもんでもないよなって思える。
心がちょっと暖かくなるようなシーンがちょこちょこあるから好き。
暗い部分とのギャップとアンバランスさと淡々とした感じもいい。
『吹雪と死神』
推理小説風味。
死神主人公だとどこに現れても違和感がないので、色々な話を楽しめていいかも。
途中、主人公は犯人に気付いたので、余計に犯人の正体が気になりました;
結末は呆気ないものだったけれど、これはこれですっきりして好き。
『恋愛で死神』
これまでの話で主人公ちょっといい奴と思ってたりもしたけど、今回は死神らしかった。(でも、彼は好きだ)
判断が「可」だと最初に分かっていただけに、ほのぼのするシーンを読むと複雑でした。
『旅路を死神』
死神なので殺人犯とも冷静に会話。
彼の場合はちょっとずれているので、犯人が話し相手が気の毒になってくる時があるが、それが毎度面白い。
死神の千葉の台詞や態度を読んでいると落ち着いてくる。
『死神対老女』
新田さんが好きだった。
彼女の一言一言は深くて時々泣きそうになったりも…
「幸せか不幸かなんて、死ぬまで分からない」って考えいいなって思った。
私は小さい事に一喜一憂したり、落ち込むことも多いので;
死神と犬のグッチのやりとりには和んだ。
今までのいくつかの物語のその後やつながりが見えたのが嬉しい話でもありました。

あ行

Posted by tukitohondana

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