咲くや、この花 左近の桜

長野 まゆみ
角川グループパブリッシング
発売日:2009-03-27

春の名残が漂う頃、特殊な宿「左近」の離れにやってきた借家人。
ある日、押入れから骸が転がり出て、怪しげな男が桜蔵に言う「クロツラに奪われたタマシイを取り戻せばまだ間に合う」と…
武蔵野にたたずむ隠れ宿「左近」の桜蔵を今回も奇怪な出来事が見舞う。
シリーズ第二作。
前巻に聞き続き妖しくも美しい物語。
展開はあれなのだけど、いやらしいと感じず美しいと思えるのは、現と幻の狭間で全てが進行しているせいだろうか。
雰囲気は好きだが、読み手を選ぶ本であるとは思う。
久生と森本さんの二人が微笑ましかった。
キスの話では桜蔵と一緒に笑ってしまった。
このシリーズは男同士の話はほんのり生々しいけれど、男女の話はさっぱりしているか微笑ましい気がする。
“灰かぶり”は私にしては珍しく仄めかされた段階で相手の正体が分かる話しだった。
他の話に漂う和風な空気と少し違っていてこれはこれで面白かった。
男の正体が植物や幽霊、妖怪の類っぽい話が多めだけど、虫なのも多いので苦手な人は注意。
思いっきり続きが気になるところで終わりましたね。
まさかまだ続くとは…図書館で借りているので、次の巻も入荷されるよう願います。

inserted by FC2 system