人間失格
大庭葉蔵という主人公の半生を描く太宰治最後の自伝的小説。
昔から気になっていたのですが、先日初めて読みました。 人間との関わり方に対する悩みや道化について、周囲との思考や価値観のずれなど正直考えなくても生きていけるそれがなんか共感できていきなり辛かった。 優秀さは私にはないので共感できないところも多いけれど。
見方を変えると優秀で人と関わることを厭うているけれど道化を演じているキャラクターとして主人公を見ると惹かれる部分もある。 主人公の葉蔵は金・酒・女にだらしないし、加えて催眠剤も飲んでるし、大丈夫なのかこの人ってなる。が、この不安定な思考とダメダメな感じはなんか読んでいて落ち着いてしまうな…変にもてるのもなんか分からなくはない。
人が生きる上で恐怖を感じることって昔も今も変わらないんだなと変に感心してしまった。 葉蔵が隣人に対する恐怖や科学の進歩におびえるという例えもなんか分かるし。
シヅ子・シゲ子母子との別れやヨシちゃんとの馴れ初めエピソードが好き。特にヨシちゃんとはそれまでの女性関係と方向性が違ってて良い。 その分、ヨシ子の身に起きた事件は悲しいけれど、人を信じるヨシ子の様が葉蔵と対称的なのを強調したエピソードとしても受け取れてしまい複雑。対称的な二人というのはカップリング的には美味なので。
ちょっと辛いところもあったけれど、思っていたより興味深くて面白い作品でした。 太宰治はほかだと走れメロス読んだことあるぐらいなので、他も読んでみたい。