レッド・ドラゴン〔新訳版〕 下

レッド・ドラゴン〔新訳版〕 下 (ハヤカワ文庫NV)

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早川書房
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不敵な挑戦状をFBIに叩きつける犯人を、ハンニバル・レクター博士は密かに操ろうと企む。 FBI捜査官たちは翻弄され、グレアムの身にも危険が迫ろうとしていた…

記事を書いたのはラウンズなので、彼を味方として作戦を実行した時点で彼にも護衛はつけておいた方がよかったような…
明らかに病んでるけど、計画性も判断力もある犯人なら狙いやすい方を狙う。
起きてしまった後でならなんとでも言えるよな…うーん、ラウンズの心配はそういえば私もしてなかったしなぁ。

ダラハイドの過去がそりゃ病むのも分かるわという感じでなんとも…
一見、いい人に会えたと思っても何か問題はあったりで。
お祖母さんも病気なんだなと思いつつ、これは読んでて気が滅入った。
なので、大人になってからの周囲の評価とのギャップには驚いた。
前科はあるものの更生したように見える。

ダラハイドとリーバの関係は好き。
ただ、ダラハイドがいつリーバを殺してしまうかハラハラしていた。
綱渡り状態が読んでいて心地いいので複雑な気持ちになる。
ダラハイドがリーバを竜から守ろうとしたのは意外だった。
竜が別人格のような存在だったことにもそのあたりで気づく。やっぱりこのカップル好みだわ。
リーバの語るダラハイドの様子を信じてくれる人がいたのは彼女にとってもダラハイドにとっても幸いだっただろうか。
少なくとも読んでいる方としては救われた気がした。

写真や動画の処理がプロにしかできなかった頃ゆえに起きた犯罪だよな。
今でも日常で他人と関わらずに生きることができない以上、私たちは関わる目の前の人々を信じて生活するしかない。
家族の幸福な時間を写したフィルムが悲劇への入り口という悲しい事件だった。
もうちょっと早くフィルムに気づいてもよくない?と思ったけど、そこは仕方ないか。

レクター博士の出番というか存在感も羊たちの沈黙ぐらいある方がいいかな。
レッド・ドラゴンはレクター博士の登場は控えめな分、犯人の視点が多めで良くも悪くも丁寧な印象。(バッファロービルは彼視点が少なかったので同情とかもしなかったんだけど、そこが読みやすくて良かった気もする)

ダラハイドを「怪物を背負った男」と表現したのはなるほどと思った。
ダラハイドの最期はまさかでした。

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