三国志〈4の巻〉列肆の星

三国志〈4の巻〉列肆の星 (ハルキ文庫―時代小説文庫)
北方 謙三
角川春樹事務所
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烈風の中、敢然と中原に立つ曹操。河北四州を制し、名門の誇りを賭ける袁紹。両雄の野望が炸裂し、男たちが人の道をも踏み越え覇道をめざす北方三国志、第4巻。

この張飛は劉備や関羽と出会えて幸せだと思う一方で、生き様がかっこよくも読んでて辛いんだよな。
張飛は王安のことをすごく考えているのが分かり易いような分かり辛いような。
王安は分かっているようなのであまりハラハラせずに読める。二人のやり取りは伝わってなかったら読んでて辛かっただろう。
鈍いから怖がらないというのはなるほど。
確かに細かいことまで気にするものほど大したことでなくても怖がるのだから納得できるかも。
自分とは違う人間はいると理解し腹を立てなくなっていったという張飛。良い変化。
王安といい主従関係を築けているのはそのおかげかも。昔の張飛では厳しそう。

義兄弟に混ざって食事したり、会話に参加する趙雲を読んでいると、ああ仲間になったんだと今更ながらに思う。
これまでも兵の鍛錬の話や戦場で活躍してたけれど、劉備軍に彼がいると実感するたびに心強く嬉しく思う。
自分より殿のことが分かり知っているのが羨ましいと素直に言える趙雲いいなぁ。

劉備を殺したほうがいいという配下の声に応えなかった曹操。
袁術との戦でも劉備が止めると断言する。
でも、自分に仕えてくれないだろうなと分かっている。この微妙な関係が好き。
関羽が降伏してきた時の曹操もかこよかったな。
もちろんこれは関羽もだけど。ぶれない関羽の生き方は素敵だ。

互いに欠けた部分を補い合え得る孫策と周瑜よい。
この二人が若くして命を落としたことが悔やまれる。
孫策の戦にかける情熱や周瑜とのコンビは好ましかったけど、最期がな…時代背景的に女性の立場は下なのだけど女性で身を滅ぼす率は高いんだよね。悲しいけれど女性相手だと油断するからなんだろうか。
満たされない思いを抱く者がいて、それを何かで満たそうとした結果なのかもしれないけれど。
孫権がびっくりするほどできた人物なんだね。今までの登場人物とはまた違うタイプ。

成玄固が場所を得て良かった。
自分に合った場所で生きるというのは難しいけれど大事。

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