聖者は薔薇を抱きしめて ヴィクトリアン・ローズ・テーラー

聖者は薔薇を抱きしめて ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)
青木 祐子
集英社 (2011-11-01)
売り上げランキング: 581,525

親友のクリスがシャーロックと婚約して、自らも新しい一歩を踏み出そうとするパメラ。
アントニーとイアン、二人の間で揺れるパメラが結ばれるのは?
他二編も収録された短編集。

・十二夜の手紙
シャーロックはクリスに近づく男全般に厳しめ。嫉妬だけでなく彼女を心配するがゆえなんだろうけど、久々に読むと余計気になる。この話は清々しいラストで意外でした。
なにせ身分の障害で長く悩むカップルが複数いるシリーズだったからなぁ。
ヘンリエッタもオーブリーもそれぞれ幸せになってほしいなと思う。

・私の美しい人だから
イアン先生の恋心と鈍さがよく伝わってくるお話。
パメラが好きなイアン先生も好きなので和んで読んでいられるけど、モリーンは気の毒。
狭い世界で優しい年上の男性がいたら、恋心を抱いても不思議ではないだろうし。
イアン先生がにぶい分、パメラが色々気づくからこの二人はこのままでいいのかな。
双方幸せになって欲しいなと思う。別々の道を選んだとしても。
モリーンは惚れっぽそうな気がするので、今後に期待できるんじゃないだろうか。
思い込みが激しそうなので苦労しそうとはいえ、この作品そういう女性多いしな。(殆どの登場人物が恋してるからなんだと思いますが)

・聖者は薔薇を抱きしめて
こういう話はパメラの気高さと頭の回転の速さが輝くよな。そして優しさが。
彼女たちの日常、仕立て屋であること、料理好きであることなども生かされていてなんだか嬉しい。
緊張する場面だけど、パメラがいるだけで安心して読んでいられる。

そして、ここに来てパメラの出生の秘密が明らかに…
イアン先生本当いい人すぎて、すごいと思うんだけどヤキモキさせられる。
相手を思いやる気持ちと姿勢は見習いたいほどなんだけど!
アントニーとイアンは形は違うけど、どちらも優しいよね。
だからこそ、優しさがその対象とかみあってないと読んでて辛い。
パメラとイアン先生が無事帰ってくることを願いつつ祝福したい。あとはクリスたちだな。

あとがきのユベールについてとあきさんの漫画に笑ってしまった。

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