幼女戦記 (1) Deus lo vult

2023年6月2日

幼女戦記 (1) Deus lo vult
幼女戦記 (1) Deus lo vult

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カルロ・ゼン
KADOKAWA/エンターブレイン (2013-10-31)
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アニメ版が最高だったので原作も読みたくなりました。あのアニメの映像とシナリオ構成は素晴らしかった。
少し読んでみたWEB版よりは読みやすくなっているような気がします。

21世紀で合理主義なエリートサラリーマンだった主人公は、リストラした同僚の逆恨みを買い亡くなってしまう。
その際遭遇した創造主を自称する存在Xは、彼に信仰を取り戻させるべく戦争の絶えない世界で孤児の少女へと転生させた。
20世紀初頭の欧州に似た世界の「帝国」へ生まれ変わった主人公ターニャ・デグレチャフは、魔導の才を持っていた。
いずれ徴兵されるならと士官学校へと進むターニャだったが…

存在Xと初めて出会った時の主人公の思考がオタクだなぁ…とあらためて思う。
合理的に社会に合わせて生きるのがしんどい身としては、彼の生き方に対する割り切り方とかそれにともなって行動できることが羨ましくもある。
皮肉だよね。環境によって人間は規定されるっていうの彼にもあてはまってて。
他人を理解しようとしない辺りは良し悪しだと思うけど、そこを除けばエリートなだけで割りと普通の人だよな。
(なぜ良し悪しかというと他人を理解しようとする人がいい人だったりまともな人とは限らないから)

他にも少年少女の軍人いるはずなんだよな魔導師で。
年齢制限ないみたいだから。
さすがに前線にいるのはターニャぐらいだから出てこないんだろうか。

アニメより主人公の内面がよく見えるからか、ターニャが幼女なことめっちゃ気にしてるし、幼女のために周囲から不当な扱いをされていると感じているなというのがよく分かる。
存在X的にはいい感じなのでは。
アニメではあまり感じられなかった主人公が幼女であるがゆえの侮りや蔑みがあるね。(アニメでも序盤はちょっと出てきたが)
なので、原作の方が銀翼の恩恵をすごく感じる。

戦場で戦闘狂と誤解されるターニャの行動は、そこにいたるまでの心境を読むと納得な気が…
サイコパスで自己愛が強くなくても、これはくそったれと思うしヤケクソにもなるよ。

ドクトル・シューゲル、実際関わることを考慮しなければ、キャラ的に大好き。
ターニャの主任にはマネジメント要員をという気持ちは分かる。
ただ、彼を制御しうる人間はなかなかいなさそう。
九十五式でてきた。精神汚染されながらもこれを使わないといけないってとこも、好きな設定。
神を進行しない主人公が神の御名を広めるために実験的に与えられた恩寵。
この設定がめっちゃ好み。

ヴィーシャがターニャの部下になって戦場に慣れていく過程は知りたかったので、原作万歳。
ヴィーシャを将校課程へ推薦したのって原作ではシュワルツコフ中尉だったのか。
ライフルを毎日大学に持っていくことに関しての本人と周囲の認識の差が酷い。
この辺りをとっても、原作のターニャがアニメより可愛げがあるような。ちょっとすきがあるというか。

ゼートゥーア准将と初めて話した時の主人公の思考、お前がそれを言うか…という感じで面白い。
プレゼンした内容もなぜよりによって魔導師を使う内容にしてしまったのか…不注意というか無自覚って怖い。
大隊が欲しいと言ってしまったという…本人の意図してなかった結果になるところを見れば主人公本人のいうように苦労人と見れなくもないんだよな。自業自得でもあるが。
大隊の編成も本人の思惑からはずれて順調に達成。
これからの大隊が挑む戦場の描写が楽しみ。

あとがきがジャンルや今後の傾向を書いてくれていて親切かも。
ハッピーエンドや勝利、友情も好きだけれど、こういうのも読みたくなる私としてはどストライクな作品でした。

さ行

Posted by tukitohondana

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